Orchestration
オーケストレーション(Orchestration)は、近年、IT業界で使われる言葉である。もちろん元々は音楽用語で、オーケストラから派生している。IT用語としては、システムやソフトウェア、サービスなどの構築、運用管理の自動化を意味している。デジタル化された計装においても、今後使用されていく言葉となるのは、想像に難くない。だがその具体的な姿を描くのは難しい。
日本の産業が復興し始めた昭和32,33年ごろ、東京大学の沢井善三郎先生(SICE初代副会長、後に会長も務める)が、Instrumentationを「計装」と日本語訳した。月刊「計装」はそれを受けて、発刊したのであるが、自動化を目指していた産業界に受け入れられ、計装課や計装グループとしての技術集団が育成され、公官庁系の上下水道にも計装担当が存在するようになった。
Instrumentationも、元々はinstrument(楽器)から派生した言葉で、管弦楽法と訳されている。
Orchestrationも音楽用語として言えば、同じく管弦楽法だが意味合いが異なる。つまりInstrumentationは管弦楽の演奏技術、Orchestrationは管弦楽の作曲あるいは編曲方法を意味するので、両者とも管弦楽法と訳されても使用される場面が違う。
現在、Instrumentationを辞書で引くと、計装という言葉とともに、その意味合いが掲載されるようになった。Orchestrationも日本語訳されて、IT業界のみならず、産業界全般に定着することを期待したい。