気体の酸素量を測る
1.ジルコニア式酸素計
ジルコニア素子を約750℃に加熱し内外面に白金系電極を設け、素子内外に酸素分圧の異なるガスを接触させると酸素濃淡電池の作用で酸素分圧差に対し起電力を発生します。すなわち、酸素分圧の高い電極で酸素分子が電子を得て酸素イオンとなり、このイオンがジルコニア素子内を移動し、もう一方の電極に至り電子を放出して酸素分子に戻ります。この反応によって両電極間に発生する起電力Eはネルンスト(Nernst 独 1864-1941)の式で与えられ、この電圧を測定し酸素濃度とします。
●大気の酸素濃度が20.6%なのになぜ計装空気は、21%なの?
大気中の酸素濃度は20.6%ですが計装空気の酸素濃度を測ると21%と明らかに差があります。計装空気は大気を圧縮しているだけですので計装空気の酸素濃度と同じはずですが、なぜ違うのでしょうか?
その違いの原因は湿度です。計装空気は乾燥状態ですが、大気は通常70%程度の相対湿度の水分を含んでいます。このため水蒸気分で薄められ約20.6%となります。
例えば
常温(23℃)の飽和蒸気圧は、0.02864kg/cm2です。大気圧は1.0332 kg/cm2ですので相対湿度100%の空気に含まれる水蒸気の体積は、0.02864/1.0332×100%=2.77%です。この場合酸素濃度は20.42%となりますが通常70%程度の相対湿度のため20.6%としています。
このように厳密に酸素を測る場合、湿度の影響を考慮する必要があります。
この原理を利用し、ジルコニア酸素計を高温湿度(水分)計として利用しています。
●ジルコニア酸素計を利用した高温湿度計
繊維工場の発色工程・コンクリート製品の蒸気養生工程・タバコ・食品・紙・木材乾燥・石膏ボード・鉛蓄電池電極・タンタルコンデンサ製造プロセスなどの高温雰囲気の湿度管理にジルコニア式高温湿度計が使用されています。
燃焼ガスを含まない高温雰囲気の場合、酸素濃度21%の空気と水分ですので、水分で薄められた酸素濃度を測定し、水分量に読替えることができます。
この原理を利用し、ジルコニア酸素計を高温湿度(水分)計として利用しています。
2.磁気式酸素計
ガス中の酸素が磁気に吸引される現象を利用した測定方法で、防爆形を製作できます。
図2において測定ガス(窒素ガス)は、入口からリング状通路にAとA' に分流されC部から排出する構造です。補助ガスは、BとB' に分流しDおよびEよりそれぞれリング状流路に出て測定ガスと合流しCから排出されます。BとB' には流量を検出する流量センサがあります。
D部には強力な磁力を与えてあり、測定ガス中の酸素を引寄せ集結させるため酸素濃度に比例した絞り効果が生じ、Bの補助ガス量が少なくなりB' の補助ガス量が増加します。BとB' の流量比変化が酸素濃度に比例するため、酸素濃度を測定できます。
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