気体の流量を測る

通常、 測定気体中に水分を含んでいます。 気体流量測定では 「水分を含めた流量を測るのか」「水分を除いた流量を測るのか」を明確にする必要があります。

工業的気体流量測定では、 水分を除いた流量を測るのが一般的で、 これをドライ換算値といい、 流量単位にNm3/hを使います。 このNm3/hは、 1時間に流れる標準状態 (1気圧、0℃) ドライ換算m3 (立方米) の体積流量を意味します。


差圧式流量計の場合

 

気体中の水分 (水蒸気)による体積増加と密度変化による影響を二重に受けます。 密度変化は、測定対象気体と水蒸気の密度差で生じます。 測定対象気体が水素の場合、 水素の分子量2.016と水蒸気の分子量18.02の差異が大きく影響を無視できません。

(注) 気体密度は分子量に比例します。

標準状態 (1 気圧、 0℃) の気体密度 (kg/m3) =分子量÷ 22.4

水蒸気を含む度合は、 相対湿度%または水蒸気の体積%で指定されます。

気体の温度が高ければ同じ相対湿度%でも水蒸気の占める比率が大きくなります。

例えば大気圧、 50℃、 湿度 100%の水素の場合、 50℃の飽和蒸気圧=0.1258kg/cm2、 大気圧=1.0332kg/cm2 の条件から 0.1258/1.0332 × 100 =12.18Vol% の水蒸気が含まれ、 その平均分子量は、

平均分子量=水素の分子量×水素の体積比+水蒸気の分子量×水蒸気の体積比

= 2.016×0.8782+18.02×0.1218=1.7604+2.1948=3.9552

と水素分子量の約2倍になり、もし相対湿度0%を前提に測定すると密度の影響だけで約1.4(2の開平値)倍、水蒸気体積分 12.18Vol% を加え約1.6倍の指示となります。


渦流量計の場合

 

流速を測定しますので、 密度変化の影響を受けませんが、 差圧式と同じく水蒸気の占める体積の影響を受けます。

測定気体に水分を含む場合、 差圧式流量計と同様 「水分を含めた流量を測る」のか「水分を除いた流量を測る」のかを明確にする必要があります。

この問題と別に渦流量計は、気体密度が0.7kg/m3未満では渦発生力が弱く測定できないので注意が必要です。常圧の水素ガスは 0.09kg/Nm3と密度が小さく測定できませんが、7kg/cm2G以上加圧すると密度が0.7kg/m3以上となり測定できます。

(参考)

 標準状態の水素ガス密度=分子量÷22.4=2.016÷22.4=0.09kg/Nm3

 
(渦流量計で測定不可)

7kg/cm2G の水素ガス密度=標準状態の密度×(7+1.0332)/1.0332=0.09×(7+1.0332)/1.0332=0.7kg/m3

(渦流量計で測定可)
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