食用油に使用される流量計
●超音波流量計
最近使用されるアプリケーションを広げている流量計であり、食用油の分野にも使用実績が見られるようになった。
この流量計は流体中を(超)音波が伝わる時間を(伝搬時間)を利用した流量計で、その測定原理は図1に示すようなものである。
<動作の説明>
流体の流れる配管を通して流体中に超音波を発射し、下流側で到達した超音波を受信する。次に下流側から上流へ向かって超音波を発射 し、上流側のセンサーでこれを受信する。
このとき上流から下流へ向かう超音波は流体の流れにのって伝わり、下流から上流へ向かう超音波は流れに逆らって進むことになる。このため、上流から下流へ向かう超音波の伝達時間(T1)と下流から上流に向かう超音波の伝達時間(T2)には時間差が生じることになる。
即ち、T2-T1=⊿T を求めることにより流速を知ることができる。
超音波流量計には、このように伝搬時間の差を求める「伝搬時間差方式」と流体中の気泡や固形物に反射して返ってくる超音波の周波数の変化から流体の速度を求める「ドップラー方式」と があるが、一般には「伝搬時間差方式」が用いられる。
測定原理から、「伝搬時間差方式」では流体中に気泡や固形の混濁物があると超音波の伝搬の障害(乱反射や減衰)になり測定に悪影響を与える。したがってこの場合はこのような不純物 の少ない清浄な流体であることが望ましい。
一方、ドップラー方式では発射した超音波が反射するための物が必要で、まったく混濁物の無い清浄な流体では正常な測定ができない。
使用に当たってはメーカーの仕様に従って適用流体と機種を選定することが必要となる。
その他、超音波流量計の特徴として次のようなことが挙げられる。
1.超音波の発信・受信を配管の外側から行うクランプオン形では、既設の配管への取り付けが 容易にできる。
2.配管の内部に流量測定のための構造物が全くないため、圧力損失が無い。
3.大口径でも価格の上昇が少ない。
4.配管内の流速分布が測定精度に影響するため、上下流に直管部が必要となる。
大口径など流速分布の影響が避けられないときは、超音波の通り道(測線)を増やして影響を少なくする等の対策が取られる。
5.配管材質によっては超音波の伝搬がよくないため測定が困難になる。(食品プラントでは問題になることは無いと思われる)